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フードコートにて [巷の雑感]

フードコート.jpg

地方では大型のショッピングセンターは珍しくないが、そういった所にはたいていフードコートがある。フードコートとは、100席規模の共有の座席スペースの周りに、主にセルフサービス形式の小さな店舗が軒を連ねる、飲食店広場のこと。じっくり食べる夕食とは違い、買い物がてらにちょっと食べる昼食には適していて、我が家もいつもお世話になっている。家族で行っても、各自が好きな店で好きなものを注文して、一緒のテーブルで食べられる点が飽きられず、リーズナブルな価格と共に家族連れに好まれるところだろうか。
先週日曜日も、家族と一緒にこのフードコートのお世話になった。ちょうどお昼時ということで混み合っていたが、何とか席を確保して、「チャーハン・ラーメンセット特価」と大きく書かれた店に並んだ。するといきなりテーブルを叩く音が響き、怒声が飛んできた。
「いったい何分待ったと思っているんだ! 何分待たせたか言ってみろよ! 今までこういう店で、こんなに待たされたことは無い! この店の管理は一体どうなっているんだ!」
大声を上げているのは、70歳を超えていると思われる男性。その声にちょっとびっくりはしたが、平身低頭の女性従業員に向かって放たれる声に、私はちょっとムッとした。その瞬間、注文の列に並んでいた私の前の男性(40歳前後と思われる)が、いきなり大声でその老人に言い放った。
「そんな言い方ねえだろう! 一生懸命やってるじゃないか! そんなに待つのが嫌なら、他の店に行けばいいんだ!」
言われた方は、言い返すこともなく、「すみません」と小声で言って、その場を立ち去った。
さて、その店で注文を終えた私は、自分の席に戻って出来上がりを待つ。同じように隣の店で注文した息子のうどんは、早々と出来上がってきた。家内が向かい側の店で注文した焼きそばも。しかし、一向に私のチャーハンラーメンが出来てこない。目の前でサッサと食べ始める家族を見ていても仕方ないので、ちょっと店を覗いてみる。私の注文した店が、他の店に比べて特に注文が殺到している、という訳ではない。私の注文した品も、特別珍しいものでもない。だが、どうも出来上がりの品が出てくるのが、他の店に比べて妙に遅い。機械的なトラブルというより、中で調理する人が絶対的に足らないようだ。
人間、腹が減ると気が短くなるのことは、科学的に証明されているらしい。確かに、手軽に食べれるフードコート店で、こんなに待たされた経験は私にも無い。そう思えば、さっきの老人の怒りの言葉も、何だか納得できるような気がしてきた。あの時は侮蔑の眼を向けてしまったが、意外とあの老人の言うことが正解だったのかもしれない。結局20分以上待たされて、私のチャーハンラーメンは出来上がり、やっと席に戻って来れた。もちろんその時には、家族は既に食べ終わっていたのだが。
食べながら、フッとその店に眼を向けると、さっきまで注文を受けていた女性従業員の姿は無く、代わりに男性従業員がレジ前に立っている。その女性従業員は、奥で調理係になってしまった。混雑具合を察して、どこからか助っ人がやって来たのか、それとも本来の人員がやっと揃ったのか、それは分からないが、待ち時間は大幅に短縮されたようだ。しかし、先程の老人や、それを戒めた男性、そして私など、口に出す出さないは別にして、待ち時間の思わぬ長さに憤慨した人々を作った原因は、さてどこにあるのだろう。あの頑張った女性従業員ではない事は確か。そうなると、やっぱりあの老人の言った、店の管理体制ということになるのだろうか。日曜日の昼食時に、必要な人員を用意できなかった(実際には手配していたのかもしれないが、現実はそうならなかった)、店の管理者の責任ということだろうか。そうなら、やっぱりあの老人の主張は正しい事になる(主張の方法は別として)。
しかし、私もサービス業に従事する者の一人。あの店の店長なり管理者なりの立場に自分を置き換えてみると、言い訳の一つも言いたくなる気持ちも分かる。どんな時もお客に充分なサービスが提供できるように、人員を充分用意するということは、すなわち経費の増大を招き、今のような低価格では商品を提供できない、と。この不景気の世の中、業種を問わず経費削減に勤しみ、皆ギリギリのところで踏みとどまっている。実際私は、こうしたフードコートに出店している店で、流行っていたように見えたのに、閉店を余儀なくされた店を何度も見ている。今日この店で起こった不具合が、明日、次週の日曜に、両隣の店で起こる可能性は確実にある。経費の削減と闘いながら利益を生み出していかなければ、自分の立場が危うい店長なり店の管理者なりに、同業者としてちょっと同情もしたくなる。
ではやっぱり、元々の原因は、この不景気のせいなのか。しかし待てよ、バブルで賑わい、好景気を謳歌していたあの頃、我々サービス業は充分な人員を確保できていただろうか。探せばいくらでも職が見つかるその時代、盆も正月もゴールデンウィークも、早朝も深夜も働かなければならないサービス業では、やっぱり人手不足だったことを思い出す。あの頃、ドンドンやってくるお客に、その対価に見合うサービスを提供できるように人員を確保することが、一番の頭痛の種だったのではないか。景気の好不調で、悩みは解消されない。
じゃあ、いったい何処に原因が・・・、と考えたところで、私の思考は止まった。同時に、食べ終わった私の箸も止まった。人間、腹が減ると気が短くなるのことは、科学的に証明されているらしいが、その逆もそうらしい。満腹の私には、それ以上の詮索をする意欲が無かった。それと同時に家族の姿も、その席には無かった。「遅いから、先に買い物しているね」と言って、先に立ち去ったのだった。一人残された席を立って見渡せば、何事も無かったかのような日曜日のフードコートだった。
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yusuhara

うちもよくフードコートを利用させて貰います。
食べたいものが違っていても気軽に利用できますから

仕事で外に行っているときも気軽に利用しています。

私も見たことがありますが混雑時には
結構修羅場があるようですね。

何でも最後は有人のサービスが一番なのですが
なかなか市場のニーズとマッチしないところが考えものですね

by yusuhara (2010-05-01 22:29) 

ジュニアユース

yusuharaさん、こんにちは。
フードコートって、気軽に、リーズナブルに、そしてその時の気分で利用できて、我が家族もよく利用しています。というか、フードコートを見つけると、必ずといっていいほど。でも利用する方はそうでも、店側の人は、いろいろ大変なこともあるみたいですね。

by ジュニアユース (2010-05-03 21:45) 

digikaz

毎度のことながら
一冊の本を読んでいるような感覚に・・・
ジュニアユースさんのような文才が欲しいです!!

楽しくGW過ごされているでしょうか?

こちらも昨日、フードコートを利用しました。
けど、昨日食べたところは結構値段高めの設定なのか
一人1000円ちょっとかかりました。
次男坊は要らないというので3人で食べましたがtotal 3400円。
お昼に3400円って高いっすよねー・・・

食いしん坊の長男はジュニアユースさんのところに出没した爺様じゃないけど
「まだか!まだか」と待ちきれず・・・

最終的に言い放ったのが
「やっぱご飯は家で食べるのがいいね!」と。(笑)

確かに待つのが嫌なら家で食べれば言い訳で・・・
外で食べるなら多少の待ちもあるわけで
昨日は15分近く待ったでしょうか。
注文するときにレジのお姉さんが「只今、お待ちいただくことになりますが
宜しいですか?」と、きちんとした対応をしてきたので
待てたのかなー。いや、滅茶苦茶腹が減っていたわけでは
なかったので待てたわけで。(笑)
息子のように最高に腹が減っていたらどうなっていたかなー・・・
by digikaz (2010-05-03 22:47) 

ジュニアユース

デジKAZUさん、こんにちは。
フードコートといってもいろいろで、ウチの地方では田舎なのでこんな感じですが、ちょっと都会(といっても名古屋ですが)のフードコートでは、もう少し単価は上ですね。それでも、普段のフードコートとは違った店が楽しめるので、家族は好んで利用しますが。
それでも私、やっぱり家で食べる食事が一番好きです。

by ジュニアユース (2010-05-03 23:21) 

ゼク

僕も、素晴らしい文章の流れだと感服いたします!
まるで竹内まりやの「駅」という曲のように情景が浮かんできます!

さて、この問題はいつも僕が考えている「満足度」という問題に関係していると思います!

どこに満足度を置くか、低価格で美味くて迅速な提供のどれか?
もちろん全てが満足できれば最高である!
しかし実際はそうは行かない!企業である限り利益がなくては成り立たない。

もしこの店が店員を増やしても十分な利益を確保できるなら人員不足は
店の管理不足でその結果、客への満足度を満たすことは出来ない。

非常に難しいですが、店員を増やすことで一時の満足度は提供できても
継続的には難しいかもしれない。
私のサービス業をやっている手前、いつも考えさせられる難しい問題だと
思います!
by ゼク (2010-05-05 22:05) 

ジュニアユース

ゼクさん、こんにちは。
毎度お褒めの言葉をいただき、恐縮です。スラスラ書いているようで、実は結構時間をかけて書いていたりします。
さて、この問題、というか今回提供しましたテーマですが、結論は私にも分かりません。それぞれの立場でいろんな見方があると思うので。ただ、付け加えて書かせていただければ、この店の上手くいっていなかった時間というのは、考えてみると30分ぐらいだったと思います。10時間近い営業時間の中で、その一割にも満たない時間がどうも上手く機能しなかった、というところでしょうか。たまたま我々は運悪く、そんな時間に当たったわけですが、実はそうではなく、何事もなくこの店でサービスを受けていた人たちの方が、遥かに多かったと思います。それをもって、この店を弁護するつもりはないのですが、人の手で提供するサービスは、機械のようにはいかないこともありますよね。

by ジュニアユース (2010-05-05 23:17) 

ゼク

僕は建築関係の仕事をしていたのですが、神戸の震災の時にこういう
話がありました!

あの大きな地震で同じ会社が建てた物件だけがとこごとく倒れたらしいです。
もちろん大手の会社ですが!!
当然その物件は建築基準法に則りしかも検査も合格した全くの合法建築です。

ところが地震でその会社のものだけが多く倒れたと言います。
ちょっと聴けばこの話は「その会社の管理や施工体制は悪すぎる」となりますが
建築関係者は逆に「さすがだ!」となりました!

そうです、基準法の規定をオーバーして頑丈に作ることは出来ますが、
それは逆にコストがかかることになります。

想定外の大きな地震でこの会社のものが多く壊れるということはそれだけ
構造計算も施工技術も緻密だったと言えるのです。

合法な範囲でギリギリの線で施工する。
お客にはコストを安くして提供する!たまたま大きな地震が起きてしまいましたが

今回の話もそんな感じに思います!
もちろん大勢の犠牲者が出た自身と比べることは不謹慎で悪い意味をもって書いているのではないということをご了承ください!

「満足度」
何を持ってお客、会社が満足できるのか!
難しい問題ですね。
by ゼク (2010-05-06 01:31) 

ジュニアユース

ゼクさん、こんにちは。
お客の要求するものに対して提供する、それが商売なのでしょうが、要求そのものが多種多様である以上、それに対する提供サービスも、そしてその満足度も、多種多様なのでしょうね。店はお客を選べないかもしれませんが、お客は自由に店を選べます。満足を得るために、我々消費者も、やらなければならないことがあるのかもしれませんね。

by ジュニアユース (2010-05-07 17:59) 

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